デマンドコントロールシステムとは?
Demand Control System
デマンドコントロールシステム
デマンドコントロールって何?
使用電力の最大値(デマンド)を抑えることにより、電気代の基本料金を抑えるためのシステムのことを言います。
電気の使用量が多い時間帯に、使用電力が多くならないよう制御するシステム。
これにより電気の基本料金を抑える事ができます。
但しこの説明だけでは分かりにくいかと思いますので、順番に説明していきます。
御社の省エネや経費削減のご参考にして頂ければ幸いです。
デマンドとは「30分間の平均使用電力」
「デマンド」とは30分間の平均使用電力のことを言います。
50kW以上の業務用や高圧電力のデマンド契約で電力会社と契約されている企業は、この30分毎の「デマンド値」が絶えず計測されています。
デマンド値は、あくまでも「30分間使用した電力の平均値」ですので、例えば初めの15分間に400kW使用して後半15分間は200kW使用した場合には、その平均である300kWが「デマンド値」になります。
つまり、仮に前半15分で電気を使いすぎても、後半15分で使用電力を抑えれば、デマンド値を下げる事が可能です。
実はこの「デマンド値」が、毎月の電気料金を決める際に重要になってきます。
(図解:最初の15分400kW、後半15分200kW使用した際のデマンド値の考え方)
電気料金、基本料金の内訳
それでは電気料金の内訳を見て行きましょう。
毎月の電気料金の内訳は、下記のようになっています。
そしてこの中で、 デマンドコントロール と大きく関わってくるのが「基本料金」です。
(「電力量料金」は、単純に月々に使用した電力量の料金です。)
それでは基本料金はどのように算出されるのでしょうか?
ここで「デマンド」という言葉が出てきました。
このように、基本料金は電気料金の単価に「 最大デマンド 」※1と 力率割引 ※2を掛け合わせることで計算されているのです。
※1「最大デマンド」・・・電力会社では、1時間ごとに使用した電気の平均値を計測しています。
その過去1年間で最も使用電力が高かった時間帯の使用電力を最大デマンドといいます。
最大デマンドは、電気の基本料金を決定する要素になっています。
※2力率割引・・・消費者に届いた電力のうち、有効活用された電力の割合を「力率」といいます。
この力率を元に、効率よく使用できた場合には「力率割引」、効率が良くない場合には「力率割り増し」として、基本料金に掛け合わせて計算されます。
「 最大デマンド 」と「基本料金」の決定方法
前述の通り、デマンドとは「30分毎に計測されている平均使用電力」とお伝えしました。
この基本料金を決定する「最大デマンド 」とは、「過去1年間で最大になった時間のデマンド値」のことを言います。
使用電力が多い時間が30分でもあれば、基本料金は1年間高くなる。
つまり「基本料金」は、その月に使用した電力が少なかったとしても、
「過去1年以内にデマンドが高い時間帯があれば、それを基準に基本料金が高くなってしまう」のです。
例えば、1月の月間最大デマンドが高かった時、12月の基本料金は?について見ていきましょう。
ここでひとつ例を挙げてみます。
図のように、12月の月間最大デマンドが200kW、同年1月の月間最大デマンドが500kW(過去1年で最大)であったとします。
この場合の12月の基本料金はどの時点の 最大デマンド 値を参考にするのでしょうか?
図のように、12月の 最大デマンド は「200kW」なのですが、過去1年の 最大デマンド 値を振り返ると、1月に「500kW」使用しています。
この為、12月の基本料金は「500kW」を基準に設定されてしまうのです。
では、これが翌月になるとどうなるでしょうか?
12月の翌月の1月の最大デマンドが「300kW」、過去1年の最大デマンドが5月の「400kW」だとします。
すると図のように、1月の基本料金は5月の最大デマンド「400kW」を元に算出されるようになるのです。
当月の最大デマンドを比べると、12月は「200kW」1月は「300kW」と1月の方が上がっているのですが、不思議なことに12月よりも基本料金が安くなるのです。
そこで「 デマンドコントロールシステム 」が力を発揮します。
「ほんの30分電気を多く使ってしまうだけで1年間電気代が高くなる。」
つまり「たった30分」うっかり電気を使いすぎてしまうだけで、1年間もの長い間電気代が高くなってしまうのです。
そこでそのリスクを回避するのが「 デマンドコントロールシステム 」※1です。
越えてはいけないデマンド値を設定しておき、そのデマンドを越えそうな使用電力になってしまいそうな時、アラートを発する、または自動的に使用電力を抑えます。
※1デマンドコントロールシステム・・・使用電力の最大値(デマンド)を抑えることにより、電気代の基本料金を抑えるためのシステムのことを言います。
電気の使用量が多い時間帯に、使用電力が多くならないよう制御するシステム。
「 デマンド監視 」と「 デマンドコントロールシステム 」
設定したデマンド値を越えそうになった際にアラートを発し、人の手で電力負荷を制御するしくみを「 デマンド監視 」、
アラートに対して自動で電力負荷を制限するシステムを「 デマンドコントロールシステム 」と言います。
「 デマンド監視 」のメリットデメリット
デマンド監視 は、 デマンドコントロールシステム
と比べれば導入コストが安い点がメリットです。
しかしながら、アラートに対してあくまで人の手で電力負荷を調整するため、手間とヒューマンエラーのリスクがある点がデメリットです。
「 デマンドコントロールシステム 」のメリットデメリット
デマンドコントロールシステム は自動で電力負荷をコントロール出来る為、その手間を抑えられる点とヒューマンエラーの心配が無い点がメリットです。
デメリットとしては、 デマンド監視 よりも導入コストが割高になる点です。
「 デマンド監視 」と「 デマンドコントロールシステム 」どちらがいい?
この「 デマンド監視 」と「 デマンドコントロールシステム 」はどちらの方が良いのでしょうか?
導入予算や設備にもよりますが、オフィスや小型店舗などでは「 デマンド監視 」で充分運用可能なケースが多いと思われます。
反対に工場やビル、大型商業施設などの大規模施設の場合には、人の手での制御が難しくなります。
更に使用する電気代も大きくなりますので、ヒューマンエラーのリスクが大きく、費用対効果も高くなる為「 デマンドコントロールシステム 」が向いているケースが多いと考えられます。
デマンドコントロールシステムは主に「空調と照明」に適用する
このように使用する電力をコントロールできる デマンドコントロールシステム ですが、制限をかけてしまうと問題が起こる機器もあります。
例えば病院の医療機器や、工場における製造機器などに制限をかけてしまうと、生命の危険や業務への大きな滞りが出てしまいます。この為、一般的に デマンドコントロールシステム を導入する際には、上記のような重要な機器以外で使用電力量が多い「空調」と「照明」を対象にするケースが多くなります。
業種別「空調と照明」の電気利用率
それでは、空調や照明にはどれほどの電気が使われているのでしょうか?
業種別のピーク時電力消費内訳をに資源エネルギー庁推計からまとめ、空調と照明を合わせた比率をご紹介します。
みなさまの業種と併せてご確認ください。
ご覧の通り、空調と照明を合わせて70%以上を占めている業種が多いことが分かります。
効果的なデマンドコントロールシステムの事例
このように空調や照明が使用電力を占める割合は大きく、 最大デマンド を抑える上で効果が期待できます。
そこでこの空調や照明において、どのように デマンドコントロール を行うのか?弊社の事例からいくつかご紹介します。
「 蓄電池 」と「 デマンドコントロール 」の相乗効果
【方法】
●電力需要が低い時間帯(深夜など)に 蓄電池 に電気を蓄えておきます。
●デマンドコントロールシステム で、 最大デマンド が大きくなりそうになったら放電。
●デマンドが大きくなりそうな時間帯に電気を買うことを抑えます。
電気料金の削減。
さまざまな方法がありますが【ピークカット】や【ピークシフト 】は電気代の基本料金も抑えられる為、非常に効果的です。
「人感センサーLED」で照明費用を抑制
「照明」を デマンドコントロールシステム で抑制するのは難しい部分もあります。
デマンド値が大きくなりそうな時間帯に不要な照明を抑えるのであれば、そもそも最初から不要な照明を抑制しておいた方が良いとも言えるからです。
その為、少しデマンドコントロールシステム とは外れてしまうのですが、不要な照明を予め抑えることで最大デマンド値を下げる対策です。
【方法】
●人感センサーLEDにより、人がいない場所や時間帯は照明を抑える
●一般的な物流センターの点灯率は約20%。従来の80%の照明電力を削減。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
デマンドコントロールシステム についての全体像をお分かりいただけたのではないかと思います。
●デマンドとは、30分間の平均使用電力
●過去1年間の 最大デマンド で基本料金が決まってしまう
●その為、最大デマンドを自動で抑える仕組みとして「 デマンドコントロール 」が有効
実際には御社の施設や電気の利用状況によって、どのような対策が効果敵かどうかは変わってきます。
こうした デマンドコントロールシステム を効果的に行いたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。